前回記事:イラストレーターで年賀状を作成する(一般的なプリンター用)のつづきです。
IllustratorCC2017でフチ無しの年賀状を作成したので家のプリンター(一般的なプリンター)でインクジェット用年賀はがきにプリントしてみます。
illustratorを家庭用プリンターでプリントする場合、フチありの状態であれば難なくプリント出来るのですがフチ無しにすると急に綺麗にプリントすることが難しくなります。
Illustratorでハガキサイズの設定をしてもプリンター側の設定でズレたり、もしくは逆にイラレ側の設定でズレたり、デザインが拡大してはみ出たりしてしまいます。
今回は、ハガキサイズでデザインができるだけ崩れないようにプリントしたいと思います。
【今回使用の環境】
Windows7、Adobe Illustrator CC 2017 、プリンターEPSON PX-1600Fです。
なお、今回使用している年賀状のファイルを別サイトで配布しています。
ハガキサイズのフチ無しがうまくいかない理由
通常フチありでプリントするとうまくいくのですが、フチ無しに設定するとプリンター側が自動でプリント範囲を拡大してフチ無しの状態にします。
プリンターによって拡大される際、プリント範囲をハガキサイズよりやや大きめにしてしまいます。大きめにする事でサイズぎりぎりの部分に余白(プリントされない白い部分)が出来ないようになっています。
しかしその結果、余白部分が出来ないのは嬉しいのですが本来のデザインより大きくプリントされる為サイズぎりぎりにある文字が欠けたり、拡大によって意図しないデザインになってしまいます。
では、自動拡大されないようにしたらどうなるでしょう。
プリント範囲を出来るだけハガキサイズに近づける手段としてはプリンターの設定で「はみ出し量設定」から「より少なくする」を選ぶ方法があります。この方法を使うとデザインをほぼハガキに近いサイズに合わせてくれます。しかしプリント範囲がギリギリすぎて今度は僅かに白い余白(プリントされない部分)が出来てしまいます。また、デザインが上下左右に揃わない事もあります。
中々本来のデザイン通りにプリントできません。
そのため、イラストレーターのフチ無しハガキをプリントする際は微妙な調整が必要となってきます。
設定してもうまくいかなかったフチ無しプリントの例
ここでイラレとプリンターの設定を変更したけどうまくいかなかった例をあげます。
これらのハガキはそれぞれ設定を変更してプリントしたのですが、白い余白が出たりデザインが途切れたり偏ったりしています。
上の画像は左側がプリントされずハガキの白色が残っています。
また上のハガキでは、デザイン下部の黒い部分にテキストがあるのですが文字が半分程欠けてしまっています。フチ無しにした状態でプリンターの設定が、自動で拡大・縮小するようになっていた為、デザイン部分が拡大されギリギリの位置にあるテキストが欠けてしまったのです。
この画像では、左側と上部に白い余白ができています。
この様に、設定を変更しても中々綺麗にプリントできないので色々やってみた結果、うまくいった方法を紹介します。
フチ無し年賀状のプリント設定
では、きれいにプリントできた方法の設定をしてみます。
イラストレーターでファイルを開きます。
※このファイルはハガキサイズに裁ち落としを3mm付けてあり、背景の色を裁ち落としまで伸ばした塗り足し部分があります。今回紹介するプリント方法は塗り足しに白い余白が出ないようにしたいので塗り足しは必須です。(年賀状のファイル作成についてはこちらをご覧ください。)
「ファイル」→「プリント」を選びます。
プリントの設定画面から下の方にある「プリンター」を選びます。
ダイアログが表示されるので続行するとプリンターの設定画面になります。
今回使用するプリンターはEPSON PX-1600Fになります。(設定画面はプリンターの種類によって多少違いがあります。)
詳細設定をクリックします。
設定をします。
- 用紙設定をハガキにします。
- その下のフチなしにチェックを入れます。
- 印刷方向は今回横向きのデザインなので横です。
- 用紙種類で郵便はがき(インクジェット紙)を選びます。
- 印刷品質をきれいにしました。(この部分はお好みです)
次に「はみ出し量設定」をクリックします。
フチなし方法設定を「カスタム設定(原寸維持)にします。
OKします。
印刷設定に戻りました。
とりあえず、このままOKしてもいいのですが次回この設定を簡単に使用できるようにお気に入りに登録しておこうと思います。
お気に入り設定から「登録/削除」をクリックします。
設定名に自分の覚えやすい名前を付けて登録をクリックします。
登録が完了しました。お気に入りの項目を見てみると新しく設定が追加された事が確認できます。閉じるをクリックします。
次回からは、お気に入りから設定をクリックすることでプリンターの設定を簡単に切り替える事が可能となります。
印刷設定画面に戻りました。OKします。
印刷の画面に戻りました。 印刷をクリックします。
イラレのプリントの画面に戻りました。
上の画像のように部数、アートボードを無視、用紙サイズ、用紙の方向、配置、原点、拡大縮小を設定します。
- 部数→プリントする部数を設定します。(とりあえず最初はテストの為1枚だけにします。)
- アートボードを無視→チェックを入れます。
- 用紙サイズ→ハガキ100×148mm
- 用紙の方向→デザインの向きに合わせます。今回は横デザインなので横向きにしました。
- 配置→真ん中になっている事を確認します。(配置する位置となります。クリックで切り替える事ができます。)
- 原点→自動的に数値がはいっていると思います。(プリント後、デザインが左右上下にズレがある場合はあとで数値を調整します。)
- 拡大・縮小→拡大・縮小しない。
これで完了です。 プリントする場合はプリント、とりあえず設定画面を終える場合は完了をクリックします。
ポイント
2番目の「アートボードを無視する」にチェックを入れる事で、Illustratorのアートボード外の塗り足し部分もプリント対象になる為、ハガキぎりぎりに白い余白が出なくなります。
6番目の原点XとYについてですが、プリント設定画面の左下を見るとデザインが表示されています。 表示されているデザインの左上がX(横)、Y(縦)となります。
※ ハガキが横向きになっているのでちょっとわかりづらいですがXの数値を増やすと右へ(デザイン上は下方向へ)ずれていき、Yの数値を増やすと下へ(デザイン上は左方向へ)ずれていきます。マイナスにすると逆方向へズレていきます。
↑試しにX,Yを20mmに増やしてみます。このように数値によってデザインの位置がズレていく事が解ります。
年賀状がプリントできたらデザインが崩れてないか、白い余白が出ていないかなどチェックしてみましょう。
ちなみに私が年賀状ハガキを試しにプリントしたところほぼ問題なくプリント出来たのですが、よくみると僅かに中央がズレているように見えたので定規でハガキのデザインを測った結果、原点Yの数値をほんの少し変更しました。原点の数値を変更する事で上下左右にプリント箇所をずらす事ができます。
完成です。
フチ無しでほぼ中央にデザインできました。
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